No.
8
展示物の名称
波に磨かれた微笑
出展者
島袋 俊昭
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自慢できるほどの物ではありませんが、私の一品は不思議な笑みをたたえた女性の横顔です。それも、日本人ではなく、おそらく東南アジアのタイかカンボジア、それともインドネシアあたりの、舞踏のときの冠を頭に載せた、エキゾチックな風貌の美人なのです。
あれはもう5、6年前のことでしょうか。1泊2日の家族ドライブ旅行で伊豆半島を一周した帰りの日、海岸で水遊びでもしようと立ち寄ったのが、半島の最先端の石廊崎でした。天気も良く、ごつごつした岩場にはうち寄せられた貝殻や漂着物が散在し、それらを観察したり拾ったりしながら、私たちは楽しい気分に浸っておりました。そのとき、ふと岩の上に打ち上げられたこの木彫りの女性の顔を見つけたのが、私でした。貝殻がこびりつき海藻なども付着して、ひどく汚れてはいましたが、あきらかに異国の物だと分かるそのデザインや表情に、私は興味を覚えました。持ち帰り、タワシでごしごし水洗いをして乾燥させると、不思議な微笑をたたえた女性の横顔がよみがえったのです。
たぶん壁掛けか何かなのでしょう。長いあいだ波にもまれたせいか、顔や髪、冠などの細かい細工の部分はいくぶん摩耗しています。が、まだしっかりと形だけは保っています。堅い木なのです。おそらく紫檀なのではないでしょうか。
それ以来、特に良いことや悪いことが、私たちに起きたわけではありません。相も変わらずパッとしない私の人生。この木彫りも、特に大事に飾っているわけではないのです。にもかかわらずなかなか捨てる気になれないのは、この不思議な微笑のせいなのでしょうか。黒潮に運ばれて遠い国から波に漂ってきた微笑…。どこの国の女性なのかだけでも知りたいのですが、どなたかご存知ありませんか。
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名も知らーぬ遠きしーまより、なーがれよーる椰子の実ひとつ…。ロマンですね。いや、まさに謎の微笑みです。ほんとうに、黒潮に運ばれて流れてきたんでしょうか。それとも近くのお土産屋の、輸入物だったりして?