◆気が付けば、黄昏が近い。最後にたどり着いた白雲橋の周りには、すっかり夕暮れ色に染まった時間が流れていた。
八幡堀の水面に映る、白い土蔵の影。ぼんやりと黄金色に霞んだ空の色。すべてがまるで夢の中の景色のようだ。初めてなのにどこか懐かしい感じがするのも、記憶のどこかに、これとよく似た風景がしまい込まれているせいなのかも知れない。
琵琶湖へとつながる八幡堀は、かつて物資輸送の動脈としてこの町の繁栄のシンボルでもあった。往時はこの水面に多くの舟が浮かび、荷の上げ下ろしをする人々の声が、威勢良く飛び交ったことだろう。傾いた陽の中、人足達に指図する親方の大きな声も響いたに違いない。じっと耳を澄ませば、そんな賑わいがかすかに聞こえてきそうな夕景が、目の前に広がっていた…。 |