◆細い路地裏の薄暗い空間にも、「蔵の町」の情緒が漂う。何と言うこともない生活のための小路だが、毎日ここを行き来する人々の姿や、走り回る子供達の足音が、なんとなく伝わってくる。それはきっと、この空間と同じ色の陰翳と優しさを含んでいるのに違いない。ここには、懐かしい匂いの時間が流れている。
午前10時半頃、稲荷山を発つ。が、それにはまた屋代駅に戻るしかない。やれやれ。バスを待つのも億劫なので、思い切ってタクシーに乗る。昨日30分歩いた道が、帰りはわずか5分。あっという間に駅に着いた。まこと、車とは便利なものだ。反面、稲荷山に住む人たちは、さぞ鉄道のない不便さを感じていることだろう。もっとも、もしずっと昔に鉄道が通っていたとしたら、町の歴史も景観もずいぶん今とは違ったものになっていたはずだが…。 |