◆至るところ魅力的なランドマークに出会う町、須坂。カメラのフィルムも、あっという間に無くなりそうだ。
通りの角に立つこの頑丈そうな蔵は、まるで城の櫓(やぐら)のよう。漆喰がはげ落ちたのか、なかなか渋いたたずまいだ。珍しいのは“ぼたもち石”と言う、丸石を使った石垣の造り方。寸分の隙間もない、見事な組み合わせが憎い。
足がすり減るほど歩き回り、すっかり疲労困憊。須坂駅に戻ってきたのは、午後3時頃のことだった。けっこう広い市街(まち)なのだ、ここは。
豪華な蔵や建物を、惜しげもなく見せてくれる須坂。かつての繁栄を失ったはずなのに、寂れた風情がないのは何故だろう。どこか全体、おっとりした大人のような風格をさえ感じさせる。それはきっとこの町の人々が、生活の中で古い家々と共に生き、それらを大切に扱っているからに違いない…。
この後、長野電鉄で長野へ向かい、そこから特急「あさま28号」で上野へ。土産はキオスクで買ったソバだけ(やっぱりソバか!)。最後まで晴れることのなかった空が、車窓の向こうをゆっくりと流れて行った。 |