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その100.世界に羽ばたく“ウルティモ・サムライ”(2005.1.13)
おお〜やってくれたよ、大久保嘉人。リーガ・エスパニョーラのマジョルカに移籍して、デビュー戦のデポルティボとの試合でいきなり1アシスト1ゴールだもんなあ。まあ、相手がバルセロナやレアル・マドリードじゃなかったとはいえ、顔見せ試合ですぐに結果を出すとは、やっぱりいい心臓をしておるよ。わしが教えた裏を狙う動きが、だんだん身に付いてきたということかな。なに、お前は国見高校の監督か? いや、そういうわけじゃないんだけどさ、ま、長崎チャンポンは好きだってこと。
 しかし、世界中のスター選手が集まるヨーロッパのトップリーグで、日本人が、それもフォワードの選手が活躍するのは、まさに至難の業じゃね。なんといっても相手ディフェンダーは、強い上にデカい。おまけに、味方チームの同じポジションの選手たちも、ある意味では敵だもんなあ。遠慮深くて自己主張が苦手な日本人は、言葉の問題もあってどうしても隅に追いやられてしまう。かつての城彰二やいまの柳沢敦みたいな好青年タイプは、なかなか成功しないわな。やっぱり大久保君みたいな、強心臓で暴れん坊タイプの方が見込みがありそうじゃね。イエローカードの五枚や十枚はわしが許すから、これからも遠慮せんとガンガン行ってほしいよ、ゴールに向かってな。

じゃが気が付けば今年は、06年W杯ドイツ大会のアジア最終予選の年。2月9日の対北朝鮮戦を皮切りに、タフで熾烈な戦いが始まるね。全日本人の心臓がドキドキときめく、熱いサッカーの日々がやって来るってわけさ。相手は北朝鮮の他に、イランとバーレーン。どこも油断のならない国ばかりじゃが、わが日本代表は必ずや彼らをうち破って、ドイツ行きの切符を手にしてくれるはず。わしはそう信じておる。
 ただ、ヨーロッパ組がズラリと揃う中盤や、中澤佑二を始めとするディフェンダー陣は心配ないとして、気になるのはやっぱりフォワードの得点力だね。伝統的に攻撃力の弱いのが、わが日本チーム。抜群のエースがいない中で、誰をどの戦いで起用するかがカギとなりそうじゃな。え、浦和のエメルソンを帰化させる? 誰だい、まだそんなことをいう奴は。ちょっと前にそんな噂があったんで、わし安心しておったんじゃが、いつまで経っても実現しそうにないじゃないか。人を喜ばすのも、いいかげんにして欲しいよ。こうなったらいっそのこと、横浜の安貞桓を帰化させた方が早いんじゃないの、韓流ブームに便乗してさ。なに、韓国が許さない? ま、そりゃそうだわな。

そこでやっぱり気になるのが、“無言の禅僧”久保竜彦じゃね。何といっても日本人離れした身体能力に、茫洋とした不思議な存在感。しかも無口で純朴で酒を愛し、いざという試合にはズドンと一発決めてくれる頼りになる男…。九州男児を絵に描いたようなシャイな豪傑じゃが、ただし、腰痛でリハビリ中というのが心配なんだよね。この久保が元気だったらスタメンは間違いなしなんじゃが、新聞などでは回復が遅れているというから、どうもいかんなあ。
 となると、もう一人の“陽気な禅僧”に期待するしかないか。え、誰のことかって? むろん、高原直泰に決まっておる。鳴り物入りでジュビロ磐田から、ブンデス・リーガのHSVに移籍したものの、わしの期待を裏切ってゴールを外しっぱなし。地元ファンからも“チャンス殺し”の汚名を頂戴するなど、あまりパッとした成績を上げてはおらんな。タカよしっかりしろ!と言いたくもなるが、いまのところ2トップの片方は、この高原を据えなきゃならんのが現状じゃないのかい。頼むよ、タカ〜!

さて、こうなるともう一人のフォワードに誰を持ってくるか、ジーコ監督の腹の内を覗いてみたいもんじゃね。“柏のマッチ”玉田圭司か、“日本一の斬られ役”鈴木隆行か、はたまた“万博の大黒様”大黒将志か、候補はおることはおる。じゃがわしはぜひここに、新たに“ウルティモ・サムライ”となった、大久保選手を抜擢して欲しいね。恵まれたスピードとバネに、旺盛な闘争心──。他の選手にはない優れた武器を持つ彼が、きっと日本代表の秘密兵器として活躍してくれると、わしは信じておる。スペインから駆け付け、劇的な場面で代表初ゴールを決めてくれれば、日本中もおおいに盛り上がるってもんさ。
 なんてことを考えてたら、もうお尻の辺りがウズウズしてきちまった。よ〜し、こうなったらわしもボランティアで、対北朝鮮戦に備えスカウティングなんかやっちゃおうかな。手始めにまず近所の焼き肉屋に行って、キムチにカルビにハツでも食ってくるか。で、もちろん最後は温かいコムタンクッパじゃね。