その111.テレビドラマに心は躍る(2006.3.29)
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◆いや〜、面白い。たまの映画とJリーグ中継くらいしか観るもののないNHKの衛星放送じゃが、このところ毎晩、見応えたっぷりのテレビドラマをやってくれよる。しかも、それがあの「コンバット」と「ローハイド」を続けて2本だから、嬉しいじゃないの。なんたって「コンバット」と「ローハイド」だよ。ともに昭和のテレビ史上に残る名作ドラマであり、少年だったあの頃のわしに男の生き方を教えてくれた、熱〜い思い出の番組だよ。お陰でわしもいまではこうして、立派に男の中の男になったってわけさ。なにが可笑しいの、キミ?
もっとも昭和のテレビ史上といっても、この2本はともにアメリカ製の輸入ものじゃったが、吹き替えによりちゃんと日本人向けのドラマになっておった。まあ、テレビの黎明期ということもあって、日本の声優さんの技量も今ほどうまくはなかったが、その素朴さや硬さがかえってドラマに真実味を与えていたような気もするな。だからこの二つのドラマは、なんだかわしらには外国の話には思えないんだよね。言ってみれば、出演者は全員外人なんじゃが、セリフは妙に日本人くさいって感じかな。
◆サンダース軍曹(ヴィック・モロー)とヘンリー少尉(リック・ジェースン)の二人が、代わるがわる主役を務めていたのが「コンバット」じゃったな。舞台は、ノルマンディー上陸作戦後のヨーロッパ戦線。物語は米陸軍歩兵連隊K中隊の、地味な活躍を描いたもの。サンダース軍曹は叩き上げの強面兵士で、ヘンリー少尉はハンサムな知性派将校と、二人のキャラクターは対照的だったが、どちらも感情を抑制した渋い演技が印象に残っておる。戦場では人間は虚無的になるのかも知れんが、あまり表情を変えないで心の内面を表現するという、難しい芝居をこのドラマではみんながやってた気がするね。その辺が、当時の日本製のテレビドラマとは、まるで違っておった。つまり何ちゅうか、そこがわしらには格好良かったってわけさ。
そういえばこの番組のテーマ音楽が、また馬鹿に格好いいマーチでな、いまでもわしはこの曲を聴くと戦争ごっこを始めたくなるんだよなあ。「チェックメイト、キングツー」なんてな。しかし、このドラマではドンパチの戦闘シーンは意外に少なく、むしろこんな状況下であなたならどうする?といった、人間の心をえぐるような問題提起が多かったね。だから、番組を見ながら親子で会話したってケースも、案外多かったんじゃないのかな。そう言う意味じゃ戦争ドラマといいながらも、家族で観るにはちょうどいい、教育ドラマの側面もあったかも知れないね、これ。
◆♪ローレン、ローレン、ローレン…。フランキー・レーンの美声が鳴り響いた「ローハイド」のテーマ音楽を、知らない子供はあの時代にはいなかったな。それくらいこの西部劇は当時、人気があった。「ローハイド」は、数千頭の牛の群をカンサス州まで運ぶカウボーイたちの物語でな、主人公のギル・フェイバー(エリック・フレミング)は、彼らを強烈なリーダーシップで率いて行く鉄のような男。片腕の若いカウボーイ・ロディ役を、後に映画で大出世するクリント・イーストウッドが演じておった。
なんといってもこのドラマ、出てくる連中が一癖ふた癖もある西部の荒くれ男ばかり。そんな連中を相手にチームをまとめ、さまざまな事件・事故に対処し、おまけに商品である牛の群の運送・管理にも気を配るという、フェイバーさんの男っぷりが際立っていた。いまならトラック野郎を率いる、運送会社の青年社長って役どころかな。この番組の影響でわしらはみんなおもちゃの拳銃を買ったり、テンガロンハットに憧れたりしたものさ。ときには仲間同士いがみ合いながらも、最後は男と男の絆を取り戻し助け合って進んで行く、そんなカウボーイたちの熱い友情に、子供ながらもみんな感動したもんじゃったよ。♪ローハーーイド、イヤーッ、ペチッ!
◆そういえば「コンバット」の主役だったヴィック・モローも、「ローハイド」のエリック・フレミングも、ともに後に撮影中の事故で亡くなっておる。なんとも残念じゃが、彼らが演じたサンダース軍曹やギル・フェイバーは、視聴者に熱い記憶の焼き印を残していったな。つまり事に当たって、男としてリーダーとしてどう行動するかという、ひとつのメッセージじゃ。それはいまもしっかりと、当時子供だったわれわれの心の中で生き続けておるよ。昨今の日本のテレビドラマといえば、若者向けの屁のような恋愛ものか○○殺人事件といったミステリーばかり。だからこの二つのように、家族で観ながらテーマについて語り合えるようなシンプルで奥の深いドラマが、いまでは逆に新鮮に感じられるのかも知れんわな。
ようし、分かった。それじゃ今年の花見の扮装は、サンダース軍曹の格好で機関銃を構え、「ローハイド」を歌いながら練り歩くってのはどうかな。むろん、わしがやるんだけどね。え、これ以上老醜をさらすな? そんなこというんなら、本当にやっちゃうよ。
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