|
|
|

   


その113.ジーコ・ジャパン、墜落の原因は(2006.6.25)
♪オ〜、ワリダ〜ヨ、オバ、オバ、オバ、というわけで日本代表のドイツW杯も、ブラジルに引導を渡されて一巻の終わりとあいなったな。日本時間で6月23日早朝4時からの試合を、わしは前日から徹夜してテレビ画面を見守っておったんじゃが、結果は4-1でブラジルの大勝。「ドルトムントの奇跡」ならぬ「ドルトムントの玉砕」とでもいえそうな、最近の日本代表では珍しいほど見事なKO負けじゃった。試合後にひとりピッチ上で天を仰ぎながら、悔し泣きしていた中田選手の姿が印象的だったね。そして、それを慰める旧友アドリアーノの姿も美しかった。ヒデ、君は本当によくやったよ。
 しかしわれらが日本代表、こんなに弱かったっけ…? そんな印象を持ったのは、わしだけではなかったはずじゃ。一次リーグの3試合を通してみても、後半に足がパタッと止まるスタミナの無さ。ゴール前のバイタルエリアを、相手に楽々突破されるディフェンスのもろさ。そして選手間にビミョーに感じられる、一体感の無さ。なにより、以前のチームなら持っていたはずの最後まで諦めない勝負にかける執念が、まるで感じられなかったのは何故なんじゃろうな?

わしの見た目では、今回のW杯に出場した日本チームはどこかおかしかった。期待された中村俊輔がまるで振るわなかったのが象徴するように、なんか全員のコンディションがいまひとつだったように思えるし、みんなが一つになって相手に立ち向かうという、溌剌とした覇気みたいなものも感じられなかったな。同じアジア勢でも、韓国の一丸となった攻撃サッカーに比べれば、日本はどこかピリッとしない、つまり明快な意思の統一のない烏合集団に見えて仕方がなかったね。なに、協会のエンブレムが「ヤタガラス」だからそうなった? キミなあ、座布団なんかやらないよ。
 つまり日本は「敗れて悔いなし」ではなく、なんとなく「もうちょっと何とかなったんじゃないの?」という、悔いの残る戦いをしてしまったと、どうしてもそう見えるんじゃよ。ファインセーブを連発した川口も、ディフェンダーで孤軍奮闘した中澤も、そして3戦を通じて獅子奮迅の働きをした中田も、それぞれの健闘は記憶に残るものの、なんかチームとして頑張ったという全体のイメージがパアッと浮かばないんだよなあ。どこか全員がバラバラで、イライラし、暗いというかさ…。

わしの勝手な想像なんじゃが、このいちばんの原因は、選手たちの“心の疲れ”にあったんじゃないのかね。この“心の疲れ”がさらに彼らの肉体を疲れさせ、肝心なチームワークにもひびを入れさせた、というのがわしの推論なんじゃがな。え、言ってる意味がよく分からない? 困るなあ、キミみたいなピンボケは。たまには塩水で、脳味噌をよ〜く洗った方がいいんじゃないのかい。
 まあ、ジーコ監督の基本方針が日本版セレソンの顔ぶれを固定し、各自の話し合いの中から自由なサッカーを創造させる、というものだったのはキミも知ってるね。よく言えば選手の自主性を尊重し、規則に縛らないサッカーということなんじゃろうが、悪く言えば自分からは明確な戦術を与えない、選手任せのやり方ともいえるわな。つまり丸投げじゃ。しかしこのやり方は、選手個々の能力に委ねる部分があまりに大きい。相対的に格下が相手のアジア予選レベルまではうまく行ったこの手法も、同格または格上相手のW杯本大会では最初から限界がある。なぜなら選手個々の能力では、このレベルになると明らかに日本が不利になるからさ。だからそこにはプラス、相手を上回る組織力や戦略・戦術が絶対に必要となるんじゃな。

ジーコ監督の失敗は、日本選手の個々の能力を高く見積り過ぎたということに尽きるじゃろう。そして、自分にも明確な戦略・戦術というものがなかった。ま、選手としては超一流だったジーコも、監督としてはまだ新参者。海千山千の猛者たちが集うこの大会で、所詮は若葉マークの監督に過大な期待を寄せる方が無理というものかも知れんて。ジーコは初めからヒディンクの敵ではなかったんじゃ。結果からすれば、日本サッカー界の恩人に恥を掻かせてしまった責任は、彼を代表監督に選んだ方にあるといえるわな。
 こうして、W杯本大会の荒海に漕ぎ出した日本チームは、舵取りをする船長のいないまま自分たちでオールを操り、同時に航路や速度を決めなければならなかった。そこに日本中からの熱い期待がのし掛かり、さらには対戦国の情報などもどんどん入ってくる。選手同士が話し合いで戦い方を決めるといっても、そう簡単に結論が出ないことも多々あったじゃろう。まして男ばかりの長期に渡る合宿生活では、しだいにイライラがつのり、人間関係が徐々に壊れていったってことも容易に想像できるわな。これが選手たちの“心の疲れ”につながり、彼らから覇気を奪っていったんじゃないかと、わしは勝手に思うておる。つまり日本は戦う前から、自壊していたというわけさ。むろんこの推論、間違いであって欲しいけどね。
 ともあれ代表チームには、この残念な結果を無駄にしないためにも、反省するところは反省して、次回こそ素晴らしい監督の指導のもと、ぜひ本大会で大躍進を遂げて貰いたいもんじゃ。これはみんなの願いだよね。ちなみにわしには、今のところ監督のオファーは来ておらんがな…。