その12.仮面のヒーローはいま?(2000.2.9)

休日に近くの公園などを散歩すると、犬を連れた人の姿をよく見掛けるな。
微笑ましくていいもんじゃが、近頃の犬は家の中で飼われるせいか、みんな
小さくなったね。そのうち公園中が、アイボみたいなロボット犬ばかりになってしまうかも知れないよ。
昔の犬は、その辺の野っぱらをウロウロしているもんじゃった。石を投げ付けて、逆に追っかけられたりもしたもんだ。そんな野良犬の姿もこの頃ではとんと見掛けなくなったが、もう一つ町なかで見なくなったものがある。そう、子供の遊ぶ姿じゃ。最近の子供はほとんどが一人っ子で、放課後は塾に通うか、家の中でテレビゲームなどをして遊んでおる。なんだか、「子供は風の子」と言う言葉は、死語になってしまったようじゃわい。
昭和30年代から、テレビの普及と共に子供向けのヒーローが、ブラウン管から続々と現れた。「月光仮面」を始め、「ローンレンジャー」「怪人20面相」「遊星王子」「七色仮面」に、「ウルトラマン」「仮面ライダー」などなど。数えきれないヒーロー達が毎週、子供心をワクワクさせたな。子供達はみなまねをして、正義の味方と悪者の二つに分かれ、野原や路地で闘ったものじゃ。正義の方に回るのはたいてい決まっていたが、わしなどはいつも悪者の手下などをやらされたなあ。ああくやしい。しかしそう言えば、ヒーロー達はみな仮面を付けていた。そうじゃ、仮面は普通の人間がスーパーマンに変身するのに、もっとも便利な道具なんだね。
近頃の子供は、仮面を付けたヒーローごっこはあまりやらなくなったようだが、ゲームの中で仮面を付けて、ひとり幻想の世界に浸っているのじゃろうかの。なんだかちと、寂しい気もするなあ。仮面を外して元の日常世界に戻ったとき、仲間との連帯感がいっそう深まったような気がした、あの時代のわしらの快感を味わって貰いたいものじゃよ。
わしなどは今でも仮面を付けて、昼と夜の顔を使い分けておる。むろん昼は
当博物館のまじめな熱血館長、そして夜はネオンの巷で高価な酒を片手に美女をはべらせる渋いロマンスグレー・・・。と言うのはわしの願望で、ほんとはコタツで一人、猫を相手に熱燗ちびちびの地味なオジサン、というのが実態なんじゃがね、グッスン。サビシイーッ・・・。