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その19.春は、花よりダンゴ鼻(2000.4.25)
桜の花もすっかり散って鮮やかな新緑の季節になった、・・・などと早とちりしていたら、いやー近所の小学校の校庭には八重桜が、いまを盛りに咲き誇っていたね。桜の花もいろんな種類があるもの、と妙に感心したり喜んだり。春という季節には様々な表情があるんだねえ、うん。
で、こう暖かくなると「ストーブの博物館」も少し暇になってきてね、わしも近頃はときどき日向ぼっこをしながら、鼻の穴の掃除なんかしておるんじゃ。まあ、つまり鼻くそをほじっているわけ。そこでふと気が付いたんだが、人間の鼻の穴って類人猿のチンパンジーやゴリラと比べると、ずいぶん違う形をしているね。一番違うのは、人間のは鼻梁が発達して高く盛り上がっている上に、両わきに鼻翼がついていること。鼻梁とは鼻すじのことで、鼻翼はときどきぴくぴく動く小鼻のことじゃよ。オランウータンやチンパンジーには鼻翼がないし、逆にゴリラは鼻翼のみが異様に大きいね。なに、オレのだって指がすっぽり入るほどでかい? ああ、そう。
しかし、どうして人間の鼻は顔の中央で高く突き出ているのだろうな。これは、ヒトの鼻が突き出たと言うよりは、進化の過程であごの部分が縮小・後退してしまったため、と言った方が良いのかも知れないな。鼻には嗅覚用のほかに呼吸用という大事な役目がある。それには、空気がスウスウ出入りさえすればいいというような、ただのアナでは困るのじゃ。空気の温度や湿度の調整、それにほこりの除去などが必要になるね、ハクショイ。そのためには、どうしても一定の大きさを確保しておかなければならないわけだ。つまり人間の鼻は、顔の真ん中で隆起したのではなく、あごの縮小・後退で取り残された、山脈みたいなものなんじゃね。
ところで、鼻の形には個人差や人種差がある。先端部が弱く鼻翼が大きいのが、アフリカ系の黒人に多いタイプ。それに反して、先端部が尖り鼻翼が小さくて全体に高いのが、白人系。われわれ黄色人種は高くはないが、わりに先端部と鼻翼のバランスがとれておるね。ちなみにモンゴロイドの鼻があまり高くないのは、寒冷地に適応して凍傷などから身を守るため、体の凹凸を少なくしたためだとか。なあに人間の鼻なんて、小指一本入る大きさのアナがあれば十分なのじゃ。
最後に、面白い話をひとつ。魚釣りや金魚の飼育などが好きな人は知ってると思うが、魚の鼻の孔は左右に2個ずつ合計4個あるよね。前にあるものを前鼻孔、後ろにあるものを後鼻孔という。前鼻孔から入った水は後鼻孔から排出されるが、その際に水に溶けた味を匂いとして嗅ぐ仕組みになっておる。ところで、長い時間をかけ魚から進化した人間の鼻の孔も、じつは4つあることをご存知かな。え、オレには2つしかない? うん、いまある鼻の孔は前鼻孔でな、後鼻孔はあるところに小さくなって残っておる。ほら、悲しいときに涙が出てくるあの小さなアナ。両眼の内側にある涙管じゃよ。どうりでワサビのきいた寿司を食べると、鼻から目にツンとくるはずじゃ。
わしらの先祖はやっぱり魚だったんだね。なに、わしの顔がナマズに似ているのはそのせいか、だって? そういうキミだって、シュモクザメにそっくりじゃよ。
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