その37.箸にも棒にもかかりたい(2001.1.30)

 いやー、やっと正月から続いた食べ過ぎ症候群が治ったと思ったら、昨夜はまた、ネットサーフィンのついでにカップ麺を食ってしまった。肥るとは分かっていてもつい手が出てしまうのが、カップ麺の魔力なんだよね。しかし、あの激辛カレーラーメンはうまかったな。
 だけどカップ麺も、箸の代わりにフォークを使うと不便なもんだね。麺が掴めないからツルッと滑って、黄色いシミが服に付いてしまう。おまけに最後のスープを掻き込むとき、底の方に残ったネギやエビのかけらがうまく回収できない。細かい作業が苦手なんだよね。日本人が伝統的に細かい職人芸が得意なのは、フォークを使う西洋人に比べて、日常的に箸を使うせいかもね。なんたって、うな重の隅のご飯を最後の一粒まできれいに食べられるのも、箸のお陰だもんなあ。
 箸は中国とその周辺の文化圏(モンゴル・東南アジア・朝鮮半島・日本など)で発達した食事用具じゃが、日本に現在のような2本に分かれた形の箸が入ってきたのは、飛鳥時代だと言われておるよ。それまでの日本人は、ピンセット型の折り箸でご飯を食べていたらしい。この形の箸は、今でも神社で神事の時に使用するところがあるんじゃと。
 昔から日本では箸は人間と神を結ぶものと考えられ、宗教的な儀式によく使用されてきた。非日常的な宗教儀式や行事の際に使用する箸には、ふだん食事に使用する箸よりも長いものが使われたらしい。ハレとケの使い分けじゃね。また、日常使用する箸も、男と女、大人と子どもでは、長さが違う場合が多かったようじゃ。ところで、わが国の16世紀の建物跡からは、こんな箸の他に「籌木(ちゅうぎ)」と呼ばれる短い「箸」も出土しておる。これ、別名「クソベラ」とも呼ばれ、別の目的に使用されたらしい。なに、何の目的かって? うーん、名前から勝手に想像してよ。言っとくけどクツベラじゃないよ。
 ところで、箸の使い方は国によって随分マナーが異なるのを知ってるかな。例えば韓国や中国などでは、自分の箸をなめてきれいにしてから、食べ物を他人にとってあげる習慣があるようじゃが、これ日本ではちと気持ち悪がられるわな。また箸をテーブルに置くとき、日本人は横に置くが中国人は縦に置くんだね。ま、どっちが良いという話ではないんだがな、うん。
 近頃気になると言えば、若者の箸の持ち方じゃ。変な握りの子をけっこう見かけるが、これは親から子へきちんと伝えたい食事の基本マナーだよね。いわば日本の伝統文化。大事に伝えて欲しいものじゃな。さらには、食事中の箸のタブーも忘れてはいかん。かき箸(食器のフチに口をあてて箸で料理をかきこむこと)、くわえ箸(箸を口にくわえたまま手で食器を持つこと)、探り箸(汁ものなどをかきまぜて中身を探ること)に、涙箸(箸先からポタポタと汁をたらすこと)。他にも、ねぶり箸、指し箸、こじ箸、迷い箸など、やってはいけない箸使いは数多い。美しい食事の作法は、文明人の必修科目じゃ。マックのハンバーガーもいいが、正しい箸の使い方を身につけて、今日からキミも正しい日本人になってくれよ!
ちなみに自分に合った箸の長さは、親指と人差し指を直角に広げ先端を結んだ長さの1.5倍だとか。ふだんキミの使っている箸はどうかな? なに、コンビニの割り箸しか使ったことがないって!?