その38.忍者スタイルで世界と勝負!(2001.2.13)

 ハックショイ、まだまだ寒さが身にしみる2月じゃが、お陰でわしは風邪を引いて寝込んでしまったよ。うー、さぶ。しかし、寝込むとイヤでもテレビの画面が目に入るな。他にやることもないしさ。で、うんざりするのが夜のスポーツニュースの作り方じゃ。各局申し合わせたようにプロ野球のキャンプ情報を、微に入り細にうがって報道しておる。しかもトップニュースは必ず、某金満球団の元スーパースター監督じゃね。やれノックをしただの自転車に乗っただの、どうでも良いようなことが大きく扱われる。大勢の記者やカメラマンがその後をゾロゾロ付いてまわる様は、まさに金魚の糞じゃ。他にも冬のスポーツ情報はたっぷりあるだろうに、国を挙げて毎年こんなことをやってるのは、おそらく世界中で日本だけだろうよ。
 そこで、へそ曲がりとしては定評のある熱血館長の今日のテーマは、野球ならぬサッカーじゃ。しかしわしがサッカーと言うと、来年ワールドカップが開催されるから、それに便乗したにわかファンだろうという人もいる。だけどそうじゃないんだなー、ああ。
 思えばわしの最初の衝撃的なサッカーとの出会いは、1974年に当時の西ドイツで開かれたW杯だったな。この大会で一大旋風を巻き起こし、決勝にまで進出したのがオレンジ軍団のオランダだった。トータルフットボールと呼ばれる機動性のある戦術は他国を圧倒していたが、このチームを率いていたのがヨハン・クライフ。このクライフのプレーが、わしにサッカーの目を開かせたんだね。いや、もちろんテレビを通してだがね。全員攻撃・全員守備の戦法は、とにかく速くダイナミックで見ていて面白かったよ。
 サッカーのいちばんの魅力は、そのスタイルに表れる国民性を比較できるところじゃ。なんたってサッカーはグローバルスポーツ。地球上の北のはてから南のはてまで、民族の数だけサッカーのスタイルはあるんじゃね。かつて大航海時代の一翼をになったオランダは、いまも海洋民族らしく自由で奔放で攻撃的なサッカーを伝統としておる。反対に1974年大会の決勝の相手で優勝国のドイツ(当時・西ドイツ)は、牧畜農耕民族らしく堅実なサッカーをビシッとしてくるな。もっとも、ここは“ゲルマン魂”と呼ばれる驚異的な粘り強さが売り物じゃ。
 ほかにも、“カテナチオ”と呼ばれる手堅い守備が得意のイタリア。華麗な“シャンパン・サッカー”で前回W杯覇者のフランス。王国・ブラジルのサッカーはやはり人種のるつぼらしく個人技で勝負だし、身体能力の高さだけなら絶対の、カメルーンやナイジェリアといったアフリカ勢もいる。
 こうやってみると日本人って、日本のサッカーって、何なんだろうね。テクニックやハングリーさでは南米の国には及ばないし、体の頑丈さや闘争心では肉食民族のヨーロッパ人に勝てないよ。まして、走ったりジャンプしたりの競争だけなら、アフリカ勢には死んでも追いつかないもんな。ああ、胴長短足で、スターが生まれにくい横並び大好きの東アジア農耕民族。
 しかし、日本人の誇るべき美点が一つある。それは、外国人が日本チームを見て驚嘆する、“コレクティブなプレー”じゃ。つまりは集団戦法ってこと。一人一人の能力では劣るが、これが組織となって一つに機能するとめっぽう強い。素早い球回しと頭脳的な戦術で敵を翻弄する、まさにこれ忍者の戦法じゃよ。顔だって凹凸が少ないから、外人から見ればみな同じように見える。日本が世界と戦うにはこの忍者戦法に磨きをかけるしかないよ。いっそのこと来年のW杯日本代表のユニフォームは、忍者スタイルというのはどうかしら? 中田選手なぞ似合うと、わしは思うんじゃがねー。