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その42.ピラミッドの頂点はどこにある?(2001.4.12) ◆アメリカに渡ったイチロー選手が、メジャーリーグで活躍しておるねー。まあ、日本でもダントツの実力者だったから当然と言えば当然だが、今後がますます楽しみじゃ。本人も夢がかなって、毎日が充実していることだろうよ。衛星放送で見たんじゃが、試合前に他のメジャーリーガーに混じって整列し、アメリカ国歌を聴くイチローの顔は、実に誇らしげじゃったなあ。これ、野球好きの日本人にとっては、成長した息子がよその家の養子になったようで、なんとなく寂しくもあるのじゃがな・・・。 もっとも、これを日本プロ野球界の危機ととる見方もある。 かつての野茂や昨年の佐々木、そして今年のイチローと、日本の野球界を代表するスター達が、こぞってメジャーに移籍し成功しておる。そればかりではないぞ。元オリックスの長谷川投手や元阪神の新庄選手などのように、日本では並の(失礼!)成績だった選手達までがメジャーで活躍できるとなると、今後、日本のプロ野球から向こうに挑戦する選手は、間違いなく増えるはずだからね。なんたってあちらはチーム数が多く慢性的に選手不足。おまけにギャラは高いし、社会的なステータスも高い。なによりも、日本人選手にとってアメリカのメジャーリーガーになることが、いまや究極の夢になりつつある。意識が変化し始めたんじゃね。あ〜あ、えらいことになっちまった。 ◆もともとアメリカ文化圏でのみ発展したベースボールと言うプロスポーツは、アメリカや日本、韓国など、限られたそれぞれの国の内部で自己完結しておった。サッカーのFIFA(国際サッカー連盟)みたいに世界的に統括する組織もなければ、ワールドカップの様にナショナルチーム同士の対決もない。もちろん国によるランキングなどがあるはずもない。アメリカのチャンピオンチームがワールドチャンピオンで、日本シリーズのチャンピオンが日本一、韓国シリーズのチャンピオンが韓国一。それでおしまいだったね。いわば国内にそれぞれ一つのピラミッドがあって、それぞれのピラミッドは高さの違いを認識しつつも、一体になることはなかった。それはそれで良かったんじゃ。 しかし近年、それまで鎖国的だった日本や韓国の国内リーグから、トップ選手たちがアメリカに移り始めた。スターの海外流出じゃ。パンドラの箱を開けてしまったんだね。メジャーリーグと言うのは、4人に1人が外国人と言われておる。プエルトリコやベネズエラ、キューバなど、有名選手を生み出した国も多い。今度はそこに東洋のスター達が加わり始めた、というわけさ。こう考えると、イチロー選手のアメリカでの活躍を、呑気に喜んでばかりもいられないわなあ。 ◆アメリカに渡りメジャーリーガーの仲間に入って、試合前にアメリカ国歌を聴く。これが日本の選手達の究極の目的になってしまったとき、わが国のプロ野球は危機的状況を迎えるだろうな。なぜならそれは、メジャーリーグという巨大なピラミッドの傘下に、日本のプロ野球が入ることを意味するからじゃ。海外のクラブに移籍しその国のリーグで活躍しつつ、ナショナルチームに召集され、ワールドカップの舞台で自国の国歌を聴くことを最大の誇りとする、サッカーの選手との大きな違いはここじゃ。どうする、これで良いのかな? 野球というスポーツを国技に選んでしまった日本人が、これから考えるべき新しい宿題なのかも知れないね、これ。 ん、なんか今回はわし、ちょっと憂国的になってしまったかなー? |