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その43.桜前線、今はどこまで行ったやら(2001.4.26) ◆いい季節になったねえ。新緑が街にあふれて風はさわやか、田舎に行けば鯉のぼりが大きな口をあんぐり開けて泳いでおる。思わずフラフラどこかに行きたくなる時候じゃが、そう言えば桜前線はもうどのあたりまで行ったかな。なんたって日本は南北に細長いから、沖縄から北海道まで桜の花が行き渡るにはずいぶん時間差がある。面積の割にこんなに国内で緯度の差のある国も珍しいよ。南はサンゴ礁から北は流氷まであるもんな、ほんと。 ◆何年前の春だったか、秋田県に旅をした折り角館に寄ったんじゃが、4月の終わり頃だというのに桧木内川の土手の桜並木が満開だったのを思い出すよ。ちょうど同じ月の初めに隅田川で花見をしたところだったので、ありゃ思いがけずラッキー!だったね。なんだか1万円札を1日に2度も拾ったような気分。細長い日本列島に感謝したもんじゃ。こうなると、お金とヒマがあってついでにその気さえあれば、桜前線に合わせてゆっくり南から北へ旅をすることも可能だね。贅沢な旅行じゃが、そうすればひと春中花見が出来るな。むろんお供は、美しい腰元数人とお酒に御馳走。桜を見ながら歌なんか詠んだりして・・。あ〜あ、わしもそんな身分になってみたいよ。 ◆「桜前線」というのは、もともと気象庁が植物や動物の季節による変化を観測する「生物季節観測」のひとつでな、桜の開花日が同じ場所を線で結ぶと天気図の前線に似ているところからそう呼ばれておる。なかなか洒落たネーミングじゃが、他にも「ツバメ前線」や「ホタル前線」「紅葉前線」などもあるんじゃ。と言うことは、「マムシ前線」や「ムカデ前線」「ジョロウグモ前線」もあるってことかな。なに、気持ち悪いからやめろ? はいはい。 ◆桜前線の観測の対象になる桜は、一般的にソメイヨシノなんじゃ。しかし沖縄ではヒカンザクラ、北海道ではエゾヤマザクラやチシマザクラなどが、その対象となるな。ニュースなどでもお馴染みじゃが、暖かい沖縄では1月になるともうヒカンザクラが開花する。これが桜前線のスタートとなるんだね。その後、島伝いに九州に上陸した桜は、四国・中国を経てゆっくりと日本列島を北上し、津軽海峡を越えて5月上旬に北海道に上陸する。それから、ジワッと道内を埋め尽くし、最後にたどり着くのが根室の清隆寺境内のチシマザクラでな、日本で最後に咲く桜として全国的に注目されているそうな。この開花が、毎年5月下旬から6月上旬と言うから、観たい人はまだまだ間に合うぞ。 ◆こうして、桜の花が南から北へ日本列島を駆け抜けるまで、約半年間かかるんだね。あらためて驚くが、沖縄で桜が咲き始めた頃は北海道ではまだ吹雪だし、最後に根室で咲く頃には沖縄ではもう夏を迎えているわけだ。ひゃー、桜前線よご苦労さんって感じだね。しかし、これは日本列島に限った話で、桜の花はその後もきっと樺太や千島列島を北上し続け、最後はずっとシベリアあたりまで行くんじゃろうな。さいはての荒野に咲いた一本の桜か・・、なんかロマンがあるね。え、どうせならそこまで行って花見をしたらって? しかしなあ、夏休みに桜の花見というのも変じゃないかい? |