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その48.マーチと言っても車じゃない(2001.7.9) ◆ひゃ〜、いやになるほど暑い日が毎日続くね。梅雨空はどこへ行ったんだい。本当はとっくに梅雨明けしてるんじゃないのかな、これ。テレビのニュースでは、夏の全国高校野球選手権の地区予選が、そろそろ目立ち始めたしさ。「♪く〜もはわ〜き、ひかりあふ〜れて〜」か、もうこんな季節なんだね。ちなみに、これは「栄冠は君に輝く」と言う大会歌じゃが、よく聴くと阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」に、曲の感じがそっくりじゃな。まあ、どちらも同じ古関裕而作曲だから、自然と似ちゃったのかも知れないね。しかし、そんなことよりわしが気になるのは、選手達の入場行進の歩き方じゃ。握った拳を肩まで高くあげてロボットのように歩く、あの妙な格好は何とかならんかな。どうも自然じゃないよな。 ◆もっとも、マーチに合わせて若者が規律正しく歩く姿は、見ていて悪いものじゃない。年を取るとああはいかんよ。腰は痛いし脚は上がらんし。わしも中学生の頃などは、運動会の予行演習でさんざん歩かされたなあ。いまでもブラスバンドの「星条旗よ永遠なれ」や「士官候補生」などを聴くと、つい1・2、1・2と歩き出してしまうな。これって条件反射だね、きっと。他にも「ワシントン・ポスト」や「美中の美」など、スーザの曲はよく覚えておる。日本のマーチと言えば代表的なのは「軍艦マーチ」。実はわしの生まれ育った家の向かい側がパチンコ屋でな、幼い頃からわしはこの「軍艦マーチ」を朝から晩まで聴きながら育った。「♪ま〜もるもせめるも、く〜ろがねの〜」と。いまでも全曲を口笛で吹けるのは、この幼児教育(?)のお陰かな。言っとくが、わし街宣車に乗ったことはないよ。 ◆もう一つマーチで思い出すのが、1964年の東京オリンピックの開会式じゃね。このときの入場行進では色んな国のマーチが演奏されたが、先頭のギリシャの入場に合わせてオープニングを飾ったのが「オリンピック・マーチ」。戦後の苦難を経てやっと復興の自信をつかみ始めた、わが国の晴れ舞台に相応しい、明るく躍動的な名曲じゃったな。で、この作曲者がまた古関裕而。「六甲おろし」と「オリンピック・マーチ」は、深いところで繋がっていたんじゃね。余談だが、古関先生はあの「♪モスラ〜ヤ、モスラ〜」の作曲者でもある。人間、何事もハバが大事ってこと。 ◆マーチはもともと軍隊の行進などのために発達した2拍子系の曲じゃが、人の心を高揚させ前向きな気持ちにさせてくれるな。何たって二足歩行の人間にとり、自然に体に馴染むリズムと言える。これに勇ましいメロディーが付けば、好戦的な気分にもなってしまうね。世界最古の軍楽隊と言われるのがトルコ軍楽隊。なんと8世紀の石碑に、すでに軍楽隊に関する記述があるそうじゃよ。これがヨーロッパ音楽にも影響を与え、モーツァルトやベートーベンの「トルコ行進曲」を生んだんだ。クラシックの名曲にもマーチを取り入れたものは多いね。チャイコフスキーの「スラブ行進曲」は悲壮感あふれる名曲だし、ヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」は、ファミリーコンサートの定番メニューじゃ。わしが好きなのはシベリウスの「カレリア組曲」中の、第3曲「行進曲風」じゃね。これ、気分が滅入ったときなどに聴くと、みるみる心が晴れやる気が全身にみなぎってくる。ホントだってば。不思議じゃが、音楽の力とはそう言うものじゃよ。 ◆マーチは勇ましいだけでなく、音楽的に優れた名曲も多い。不景気でパッとしない日本じゃが、落ち込んだときはキミもマーチを聴いて、気分を変えるのも良いかも知れんよ。ただし、車の中で大音響で聴くのはやめような。はたで見ると、ちょっと変だから。 |