その55.方向音痴は一人で治せ!(2001.10.12)

な〜んだか、もう秋たけなわじゃ。早いねえ。ついこの前、お正月の雑煮を食べたと思ったら、一年はあっという間じゃな。さわやかで食い物がうまくって、おまけに空気もうまいこの季節。こうなると館長職をほっといて、ついフラフラと旅に出たくなるのが、わしの性分なんだね。♪ど〜こ〜か遠〜くへ行〜き〜た〜い、って心境じゃよ。いいなあ、チクショー!
 若い頃はわしもだいぶあちこち一人で旅をしたもんだが、しかし、お陰で完璧に治ったのがわしの生まれ付きの病気。え、お寺参りのお陰だろうって? コラコラ、そんなもので病気が治ったら、病院はいらんわい。実はわしの完治した病気と言うのは、方向音痴なんじゃ。子供の頃から、知らない土地に行ったら必ず道に迷うと言うのがわしの特技じゃったが、この一人旅のお陰でな、いまではどこに行っても大丈夫。歩くカーナビとも呼ばれておる。ホントだってば、キミ。

だいたい方向音痴というのは、頭の中で地図を作れない人間がなりやすい。普通こういうタイプは、自分がいまどこにいてどの方向に進めば良いか、という基本的な部分の確認をすっ飛ばして、思いこみだけで歩いてしまうんだね。つまり、思いこみの強い人間ほど危険なわけ。だけど、この思いこみはたいてい外れているから、まあ迷うわなあ。♪この道〜は〜いつか来たみ〜ち〜。こんなときは元の地点に戻れば良いんじゃが、もともとこのタイプは、途中で目印をチェックしておく用心深さも持ち合わせないから、元に戻ることも出来ないね。こうなれば後はもう泥沼状態じゃ。進めば進むほど墓穴を掘ることになって、疲労困憊、自己嫌悪。たどり着いたのは見知らぬ路地裏でな、こんな所に二度と来るもんかグスン、という怒りだけがワナワナと腹の底から込み上げてくる。これがまあ、方向音痴必敗の方程式じゃな。わしにも覚えがあるよ、ウン。

ところで、方向音痴に男女差はあるんじゃろうか? アメリカはコロンビア大学の、二人の教授が行った実験が興味深いね。8方向に伸びた通路の先に目印をつけてエサをおき、雌雄のラットが無事にそこまでたどり着けるかという実験を行ったところ、オスは迷わずエサにたどり着いたが、メスは立ち止まり同じ道で迷ってしまったとか。これは人間も同じらしい。脳の構造には男女に差があり、もともと女性の方が左右の脳の情報を連絡する脳梁が大きいんじゃ。左脳が言語機能を、右脳が空間認知を司ることは、キミも知ってるよね。男の場合、右脳と左脳は独立して働くが、女は左右の脳の連絡が頻繁なため、情報を処理しきれずにパニックに陥りやすい。そのため、女性の方が方向音痴が多いんだとさ。♪きょうと〜お〜はら、さんぜんいん、か。女性よ、一人旅をしなさいてーの。

一人で知らない町を旅すると、まず地図をよーく見る習慣が身に付くね。短い旅の場合は、特に効率よくいろんな場所を見て回りたいもの。そうなると、迷ってる時間がひどくもったいなくなる。だから、歩くことに緊張感が生まれるんじゃ。目的地に行くための目印や歩く時間なども、きちんとチェックするようになる。このお寺の角を曲がって10分ほど歩き、左手に銀行があればその反対側の路地を入る。城山の頂にある白く輝く小さな城郭が、ちょうど町の北側・・・。こうして歩いているうちに、自然と頭の中でぼんやりと町の全体地図が描けるようになる。方位の確認の仕方や、ランドマークの見つけ方も分かってくるんじゃ。
 方向音痴は不治の病と思ってる人も多いじゃろうが、そんなことはない。要は緊張感を持って歩くってこと。思いこみは禁物じゃよ。常に方位を考え現在位置を確かめ、迷ったときは元に戻れるよう目印となる建物などをチェックして行く。これさえやっておけば、後はそんなに恐れることはないんじゃ。なあに、わしが言うから間違いないよ。なに、本物の音痴の治し方? うーん、ラッパのマークの正露丸でも飲んどくか。