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その66.おっとり刀で調べてみれば(2002.3.29)
◆おお〜日本代表、けっこう強いじゃん! 3月27日の深夜にテレビの前で、サッカーのポーランド戦を観ていた誰もが、そう思ったことじゃろう。いや〜、わしも思ったよ。なにせ試合の場所は敵地のポーランド、おまけにFIFAのランキングでも格上の相手じゃ。良くて引き分け、負けても仕方のないケースだと思っていたんじゃが、2対0の完勝。その上、試合内容でも押しまくっていたから、驚き桃の木サンショの木。偵察に来ていたヨーロッパ各国の連中も、“日本恐るべし”とビビったことじゃろう。ざまあみい、東洋人をなめんなっちゅーの。脚が短くても、やるときゃやるんじゃい。
中でも目立ったのは中田選手と小野選手の活躍。イタリアとオランダから参加した二人の存在は、グラウンド上でまことに頼もしく見えたね。外国の一流クラブで活躍し、代表に召集されたらおっとり刀で駆け付ける。これがサッカー選手にとって、最高の栄誉ってもんじゃ。格好いいなあ。まるで高田馬場の堀部安兵衛、静御前を助けに来た佐藤忠信だね。なに、聞いたことない? おっとり刀だよ、キミ。斬るよホントに。
◆「おっとり刀」というと、中にはおっとりと刀を差した様子と捉える人もおるじゃろうが、それは間違い。おっとりは「押取り」と書き、力ずくで取るという意味じゃ。つまり、刀掛けから刀をひっつかんで、大急ぎで駆け付けるというわけさ。感じが良く出た言葉じゃろう。意味の勘違いは、けっこう多いんじゃよ。
例えば「情けは人の為ならず」も、よく間違えられる言葉だね。これ、情けをかけると本人の為にならない、ととられがちだが答えはノー。正しくは、人に情けをかけることは巡り巡って自分の為、という意味なんだね。つまり、他人への善行はいつか自分が報われる、というわけ。キミも人には親切にしような。それから、有名なのが「上州のかかあ天下」。これだと、上州(群馬県)の女性は気が強くて、亭主を尻に敷くように思われる。しかしじっさいは、上州は養蚕が盛んで女性の労働力が大きな支えだったことから、しっかり者で働き者という意味が込められているんじゃ。なに、やっぱり気も強い? そ、そうかい…。
◆わしの子供の頃の勘違いは、童謡「赤とんぼ」の歌詞じゃ。「♪夕焼〜けこやけの赤とんぼ〜、負われ〜て見たのはいつの日か〜」。この「負われて」を、わしはずっと「追われて」と思っとった。赤とんぼに追いかけられるという意味にな。笑うんじゃないよ。わしの知り合いは、「♪むかし〜むかし〜浦島は〜」で有名な童謡「浦島太郎」の歌詞の4番を、勘違いしてたそうじゃ。「♪帰って見れば〜、こは如何(いか)に〜」、これを「怖いカニ〜」と思っていたそうだから、わしと五十歩百歩じゃ。
最近の歌(でもないか)では「巨人の星」が、これに当たるね。冒頭の「♪思い〜込んだら」を、「重いコンダラー」と勘違いしてる人は多い。なぜか地面をならすローラーのことを、勝手に「コンダラー」だと思い込んで、重いローラーを引くイメージを歌に重ねているようじゃが、そんなものはどこにも無いっちゅーの。
◆言葉の意味の勘違いは、ご愛敬ですんでるうちはいいが、知らないままずっと覚えておると、そのうちとんだ赤っ恥をかくはめにもなる。不安な場合は、すぐに辞書で調べる癖を身に付けたいね。逆に、大人になってその言葉の正しい意味を知り、感慨を新たにすることも良くあるな。小学校の卒業式で覚えた「仰げば尊し」の「♪今こそ別れめ〜いざさらば」なんか、その例じゃ。わしは長年「今こそ別れ目」と思うていたんじゃが、これはとんだ大恥もの。古語辞典で調べたら「今こそお別れしよう」という、恩師への感謝と決別の気持ちを込めた意味だったんだね。この季節に良く聞こえて来るが、歌詞を噛みしめてみると、しみじみいい歌じゃね〜これ。先生、有り難うございました、グッスン。
こうしてみると、意味を良く知らないまま言葉を使うことは、道を知らずに車の運転をするようなもの。事故をおこさないよう、キミも事前に地図をよ〜く調べとこうな。え、カーナビがある? あっそう。
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