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その73.名曲は時代と世代を超えて流れる(2002.9.29)

♪おお〜きなのっぽのふるどけい〜、か。いや〜懐かしい歌じゃね。これ、むかしわしが可愛い子供だった頃、確かNHKの「みんなのうた」で聴いて、一緒に歌ったような気がするよ。タイトルは「大きな古時計」。おじいさんと共に100年動き続けたという古い柱時計の歌じゃが、おじいさんとその時代を偲ぶしみじみといい歌じゃったねえ。元々は、ヘンリー・クレイ・ワークというアメリカ人が1876年に発表した外国の曲。もう100年以上も前の歌だったんだ。
 ところがどういうわけか、この「大きな古時計」がいま大ヒット中というからビックリ。平井堅の歌うシングルCDは、オリコンのウィークリーランキング(9月30日付)で1位を爆走じゃと! 死んだおじいさんも腰を抜かしているだろうが、わしも何だか信じられんよ。もっとも、こんなメロディがきれいで歌詞に味わいのある、昔の曲が見直されるのは大歓迎。ちなみに歌手の平井クン、歌唱力バツグンなんじゃが、どう見ても日本人には見えないね〜。

リバイバルのヒット曲といえば、少し前にブレイクしてわしらオジサン族を喜ばせてくれたのが、島谷ひとみちゃんの「亜麻色の髪の乙女」。これは、グループサウンズ華やかりし'60年代後半に、ヴィレッジ・シンガーズが歌っておったね。ボーカルの清水道夫(ミチコじゃないよ)の甘い歌声も好かったが、やっぱりドビュッシー…じゃなかった、すぎやまこういち先生の曲が素晴らしかった。わしなんか今でも知らないうちに、メロディーを口ずさんだりするもんね。まあ、名曲は時代を超えて人の心を打つってことさ。
 そう言えば九ちゃんの「明日があるさ」も、昨年、生まれ変わって大ヒット。ウルフルズが歌い、吉本興業のタレント達が総出演した「ジョージア」のテレビCMは、全日本シーエム放送連盟のグランプリだもんなあ。これなんか、1963年の曲とは思えないくらいお洒落だよね。九ちゃんもきっと、あの世で喜んでいることじゃろう。なに、マラソンのQちゃん? キミねえ、坂本九を知らなかったらすき焼きは食えないよ。

だけど、こうやってかつての懐かしい名曲が、次々と装いを変えて現代に甦るのは、嬉しいことじゃな。なんたって、近頃のヒットチャートは若い奴ら向けの曲ばかり。おまけにどれも、メロディや歌詞の美しさは二の次といった作りだもの。歌ってる方も聴く方も同年代で、これじゃなんだか、一般の方は入場禁止と言ってる学園祭の紅白歌合戦じゃ。それ以外の年代はまるで蚊帳の外だっちゅ〜の。子供から老人まで日本中がみんな同じヒット曲を口ずさんだ、あの歌謡曲全盛の頃が懐かしいよ。
 だから、メロディや歌詞が美しく分かり易いかつての名曲を聴くと、わしらは砂漠でオアシスに出会ったような気がするんじゃ。透明な水のうまさを、あらためて感じるというか。その良さを、若い奴らが一緒に感じて支持くれるのは、何だか嬉しくもあるな。それに、ホントはわしらの方が先に知ってたんだ、という秘かな優越感も味わえるしさ、フッフッフ。

まあ、温故知新なんて言葉もある。あの頃流行った歌が必ずしも現代でヒットするとは限らんが、近頃の歌がなくしてしまった何かを、そこに探してみるのもええんじゃないの。なんたってGS、フォーク、ニューミュージックなど、60〜70年代にわしらが聴いた歌はメロディーの宝庫じゃ。このまま時代と共に埋もれさせるには、惜しい歌が多すぎるよ。
 え、「大きな古時計」の次は「小さなスナック」? キミなあ、なんか狙いすぎじゃないの? わしは何も、次のヒットを探せと言うとるんじゃない。新しもん好きで熱しやすく冷めやすい日本人も、そろそろここらで、アメリカみたいにスタンダードナンバーを大事にして行こう、と言ってるだけなの。歌は世代を超えて、みんなで共有するのがいちばん楽しいからな。しかし「小さなスナック」ねえ…。ちょっと風呂場で、ビールでも飲みながら歌ってみっか。