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その76.2003年の楽しみはこの二人(2002.12.29)
サッカーW杯の熱風に揺れ、ノーベル賞のダブル受賞で暮れたわが国の2002年も終わり、いよいよ2003年じゃな。でまた、2004年はアテネオリンピックだし、2006年はW杯のドイツ大会だもんなあ。おっとと、2005年にはそのアジア予選がまた大変。こうしてみると、一年なんてあっという間に過ぎ去って行くね。一寸の光陰軽んずべからずじゃ。なに、2003年はどうした? あー、そうじゃったな。
 まあ楽しみと言えば、野球の松井秀喜選手とサッカーの高原直泰選手のそれぞれの海外移籍かな。読売ジャイアンツの松井選手は米メジャーリーグに、ジュビロ磐田の高原選手はドイツのブンデス・リーガに、新天地を求めて旅立つというわけ。日本で築いた地位を捨て、より厳しい世界を求めて自ら挑戦するんだから、二人ともえらいよなあ。なに、Mr.マリックに挑戦するマギー司郎もえらい? ちょっと違うんじゃないの…。

しかし、海外挑戦とはいうものの、大きく違うのは二人の年俸じゃね。なんたって松井選手がヤンキースと交わした契約は、聞くところによると3年で2100万ドル(約25億4000 万円)だというから驚くよ。年俸だったら約8億4千万円。それに比べれば、高原選手がハンブルガーSVと交わしたのは、2年半契約で年俸6000万円だもの。10倍以上の開きがあるね。
 かたや松井選手は、万人が認める日本プロ野球界きってのスラッガー。群を抜いたバットスイングの速さで、みごと02年のセリーグのホームラン王に輝いた。もちろん読売からもらってた年俸も日本一。功なり名を遂げてのメジャーリーグ移籍じゃ。いわば、日本ではもうやることをやりつくしたって感じかな。こなた高原選手は、ジュビロのエースストライカー。W杯に出られなかった悔しさをバネにゴールを量産し、みごとJリーグ最年少の得点王に輝いた逸材だね。こちらはまだまだ、どこまで伸びるか分からない若手。伝統あるドイツサッカー界に武者修行、という意味合いも強い。つまり、ピカピカの完成品である松井選手と、優れた素材だがこれから磨きを掛ける高原選手の、現時点での商品価値の差がこの年俸ということなんだろうな。

とはいえ、松井選手がメジャーで活躍するのは間違いないとしても、3年で約25億4000 万円というのは尋常じゃない金額だよ。わしらからすると、毎日松阪牛のすき焼き食っても使い切れない数字。もっとも、年俸が高いのは松井選手だけじゃあない。有名なのはレンジャーズのアレックス・ロドリゲス選手で、10年契約の総額が2億5200万ドル(約300億円)。平均年俸にすると約30億円というから、開いた口が塞がらんわな。まあ、メジャーリーガーの平均年俸が約2億8千万円だから、はっきりいってこれはもうバブルの世界じゃね。いくら国民的スポーツったって、そのうちパンクするぞ〜。
 バブルと言えば日本のプロ野球も同じ。経済のバブルは10年前に弾けたってのに、プロ野球選手の年俸はバブル街道一直線だもの。いまや、1億2億は当たりまえ〜。たいして客も入っとらんチームのたいしたこともない奴が、年間ン億円もらって一流選手ヅラしてるのを見ると、わしは何だか、10年前に肩で風を切ってたバブル不動産屋を思い出すよ。この業界、ホント大丈夫かいな?

アメリカと日本くらいしか巨大な市場のない野球に比べ、サッカーは全地球規模のスポーツ。日本のエースストライカー・高原といっても、ドイツではまだまだ無名の若手選手じゃ。世界におけるJリーグの位置を考えれば、年俸6000万円はむしろ高額ともいえるわね。それに、ドイツで活躍し名を上げれば、リーガ・エスパニョーラやセリエAといったヨーロッパの他のリーグから、さらに高額のオファーが来る可能性もある。日本よりレベルの高いところで自分を磨ける上に、商品価値まで上がるわけだから、これはありがたい話だよ。おまけに2006年のW杯はドイツで開催じゃ。日本が出場すれば高原選手にとっては、ホームグラウンドで戦えるというわけ。この利点は大きいよ。
 松井と高原、この二人の若者はともに日本の期待の星じゃが、背負ってるものはちょいと違う。メジャーリーガーとしてアメリカで成功することが、松井選手の最後の到達点なら、高原選手は無人の荒野を切り開く開拓者じゃ。世界のタカハラへステップアップし、各国をまたにかけ、いまよりうんと高額の年俸を稼いで欲しいもの。そして、日本代表のエースとして腕に日の丸をつけ、ドイツW杯で大暴れしてもらいたいね。
 てなわけで2003年は、二人とも頑張れ〜ってこと。それから、金の使い道に困ったらわしに相談しなさいよ。