その87.アイリッシュ魂が感動を呼ぶ(2003.12.8)
|
◆へそ曲がりのわしがあんまり好きじゃない言葉に、「感動をありがとう!」てえのがある。これ、何となく照れ臭くて甘ったるくて、おまけに青臭い感じもして、まともな大人には使えない言葉じゃね。ところがこんなわしも、今年のJリーグで年間総合優勝を果たした横浜Fマリノスの戦い方には、ついそう言ってしまいそうになるな。いや〜、とにかく横浜の選手たちの勝利への執念はすごかった。小泉首相じゃないけど、「感動した!」と絶叫したくもなったよ。ま、あの人も最近あんまり絶叫しなくなったけどさ。
特に第2ステージの後半のいくつかの試合は、まるで選手たちに鬼神が乗り移ったかのような戦いぶりじゃったな。第11節のセレッソ大阪戦では1−2で迎えた後半、退場者を出し一人少ないなか全員で猛攻を仕掛け、とうとう39分に柳想鉄のヘッドで同点に追いついた。それに、優勝を決めた最後の15節のジュビロ磐田戦では、どう見ても磐田優勝のパターンだったのに、これまた退場で一人少ない中(ようやるよ)後半ロスタイムの総攻撃で、ついに久保の逆転ゴールじゃ。磐田は気迫で完全に押されてたね。とにかく、“戦う男の集団”に変身した横浜の奮闘ぶりには、心から「ありがとう」をいいたいよ。
◆まあこれ、今季から指揮を執った岡田監督の手腕の賜物じゃろうが、最後まで勝負を諦めず全員攻撃をかける泥臭いほどの闘志は、いままでの横浜になかったものじゃね。その点が、優れた戦力を持ちながら勝ちきれず優勝を逃した、オフト監督の浦和レッズ辺りとの差じゃないのかな。要は“勝つために全員で戦う”という基本姿勢の違いじゃよ。
横浜のこの“ひたむき戦法”、実はわし昨年見たあるチームとダブって見えるんだよなあ。そう、キミも分かるじゃろ、2002年のW杯で活躍したアイルランド代表チームじゃ。ロビー・キーンとダフの“働き者コンビ”をツートップに、強豪相手に全員で最後まで諦めず攻め続ける、泥臭いが爽やかなチームじゃった。中でも、一次リーグ・グループEでの対ドイツ戦は、記憶に残っておるね。0ー1でリードされたこの試合、敗色濃いなか愚直なまでの突貫攻撃を繰り返すアイルランドは、土壇場のロスタイムでロビー・キーンがついにあのGKカーンの扉をこじ開けた。まさかまさかの同点劇じゃったな。当時、NHKの解説者だった岡田氏は、この大会でのアイルランドの戦いぶりにいたく感心していたが、今年の横浜には間違いなく“アイリッシュ魂”が植え付けられておったね。
◆わし思うんだけど、どうもジーコ監督率いる日本代表チームの試合が今ひとつつまらないのは、この“勝つために全員で戦う”という愚直さが欠けているからかも知れんなあ。中田・中村・小野・稲本といった“黄金の中盤”を核に、華麗なパスワークで戦うという戦法は、確かにハマれば面白いしおしゃれかも知れないよ。だけどなあ、スマートな司令塔ばかりでは試合には勝てんわな。結果がそれを物語っておる。それに、彼らがうまく融和して自由自在にパスを回せるようになるには、一つのクラブチームで一年くらい一緒にやらんとダメなんじゃないかい。ま、そんなチームがあったら、わしも見に行きたいけどな。
国と国の代表が名誉をかけて戦うのが、W杯の舞台。命のやりとりとまでは言わんが、負けたら国に帰れないほどの覚悟でみんなが挑戦してくる。そこで最後にものをいうのは、やっぱり何が何でも勝つという全員の強い意志なんじゃないの。格好良くスカッと点取ってパーフェクトに押さえる、なんて所詮無理だっちゅ〜の。泥臭くてもいいんじゃよ。どうしても点が欲しい最後の最後は、今年の横浜みたいに、諦めずひたむきに全員攻撃を仕掛けて欲しいね。そこにこそ活路が生まれ、感動が生まれると思うんだがね、ジーコさん。
◆なに、今回の話はマジメ過ぎて面白くない? そうかい、最近のジーコ・ジャパンの戦いぶりに、ついわしも愚直な怒りが爆発してしまったかな。じゃあ、最後に小話をひとつ。
「アイルランドのギネスビールを飲み過ぎると、どうなるの?」
「うん、お腹の皮がダブリンになる」
な〜んてね。へい、ご退屈様。なに、そんなことをいってる間にもう2004年だ? いかん、もうドイツW杯の一次予選が始まるじゃないの。また胃が痛くなる日々がやって来るなあ。今のうちに薬局で太田胃散と、ついでにサロンパスでも買っとくか…。
|
|