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その94.国民的スポーツの正体(2004.7.10)
まったくもう、どひゃ〜っと言いたくなるような今年の猛暑じゃが、それ以上に世間を暑苦しくしているのがプロ野球の1リーグ制論議じゃね。なんてえか、6月半ばに近鉄とオリックスの合併話が持ち上がったと思ったら、アッという間にパリーグを4球団にして、セリーグと合併するという流れだもの。パリーグファンも気が気じゃないよなあ。
 この1リーグ化の旗振り役は、例の大新聞社の“独裁者”で某金満球団のオーナーじゃが、他にもパリーグ側の実力者が同調しているらしいから、もう止められないんじゃないの。何たってこの“独裁者”は、お飾りのコミッショナーを差し置いて、プロ野球界を牛耳る最高権力者。来年は多分、10チームによる新リーグが誕生しているはずじゃね。え、何という名前のリーグかって? ひょっとすると、「ヨミウ・リーグ」なんて名になってたりして…。

まあ、選手会やファンが何と叫ぼうと、この流れは止まらんだろうなあ。わしは思うんじゃが、今度の騒ぎの本質は、プロ野球バブルが崩壊したってこと。つまり、十数年前に日本経済を襲ったパンクの衝撃波が、今頃になってプロ野球の世界にもやって来たってことなんじゃ。膨らみすぎた泡は、いずれ弾けるってわけさ。もともと日本のプロ野球は、一部金持ち企業による自社宣伝のための興行。したがってバブルが弾けた以上、企業の論理でリストラや規模縮小、合併をするのは、当然といえば当然じゃな。
 だいたい日本経済のバブル崩壊後、野球界の観客動員も比例して減少してきたはず。にもかかわらず、マスコミ向けには大ウソの水増し発表を続け、“○百万人突破!”なんて虚勢を張ってきた。おまけに、FA制度やドラフトでの逆指名制度の導入で、選手の年俸はグングン高騰するばかり。さらに、例の金満球団が金にものを言わせて、他球団のスター選手を掻き集め、著しい戦力や人気の不均衡を作ってしまったな。これじゃあファンは面白くない。こんな無茶苦茶が積もり積もった結果、とうとうパンクの日を迎えたってことさ。

しかし、こんな無茶苦茶な世界を作ってしまった大きな原因は、例の金満球団のエゴイズムにある。あの、スターウォーズに出てきそうな顔の“独裁者”が、プロ野球界で大きな顔をし始めてから、なんだか全てが狂ってしまったよなあ。FA制度導入やドラフト制度の改悪は、みんなこの球団のゴリ押しによるもの。他球団のスター選手掻き集めは、狂気の沙汰としか思えない。自分のところさえ良ければというエゴが、金力・権力と結びついて、言いたい放題・やりたい放題をやって来た。そんな“独裁者”が今回先頭に立って、プロ野球界を「改革」するというんだから、開いた口が塞がらんわな。
 もっとも、この1リーグ化の流れに反対する選手たちも、どこまで人々の支持を得られるかは疑問だね。なんたって彼等は、億万長者軍団。デフレによる賃金の低下やリストラに泣く世間をよそに、たいしたこともない選手が、ゾロゾロ年俸○億円だもの。どう考えても、異常としか思えん世界じゃな。自分たちの高額年俸はそのままで、球団数削減に反対を唱えるのは、あまりに説得力がないよ。

結局、日本人が長い間、国民的スポーツと信じてきたプロ野球の正体は、実はこれだったんじゃね。つまり、企業の企業による企業のための“持ち物”。球団のことは全て、野球界とは無縁の老オーナーたちが、企業の論理で決めるってこと。そこに、ファンの付け入る隙間はないんじゃな。
 なに、このままではプロ野球界は衰退する? ま、キミの心配も分からんではない。だがな、わしはそんなことはないと思うよ。なぜなら日本のプロ野球は、新聞・テレビ業界のマーケティング戦略と深〜く結びついておる。つまり、新聞を売りテレビの視聴率を取るためのコンテンツとして、日本のプロ野球は発展してきたといっても過言じゃない。え、高校野球もそうだ? よく知ってるじゃん、キミ。だから、わが国の新聞・テレビといったマスメディアが支えるかぎり、露出度は他スポーツに比べ抜群。“プロ野球界は永久に不滅です”というわけさ。
 もっとも新聞・テレビの特徴として、自分たちに都合の悪いことは黙ってる癖があるから、例の“独裁者”が今後どんな悪政をやらかしても、文句を言う奴はおらんだろうけどなあ。