その95.アジアの地図は熱く燃える(2004.8.10)
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◆しかしなあ、こんなに盛り上がるとは誰も予想しなかったんじゃないのかい。え、何のことかって? もちろん、中国で開催されたサッカーのアジア杯のことじゃ。わが日本代表は決勝トーナメントでヨルダン、バーレーンを奇跡の逆転勝ちで下し、決勝では開催国中国を見事に撃破。ついに2大会連続の優勝だよ。
なんたって中田英や高原、小野、久保、稲本など主力がゴッソリ抜けたせいもあってか、毎試合ハラハラドキドキの展開で、わしゃホントに寿命の縮まる思いをさせられたわい。でも、代わって中村俊輔や中澤、川口といった選手たちが大活躍。日本代表の層は、いっそう厚くなったような気がするね。マッチによく似たタマちゃんも、最後の最後に爆発してくれたしさ、いや〜良かった良かった。ま、ジーコ監督の采配にはわし、言いたいこともあるんじゃがね。
◆だけど、アテネオリンピックの直前で、ヨーロッパのサッカーシーズン開幕時期に開催されたこの大会、もともとそんなに注目されてはいなかった。それが各テレビや新聞はおろか、一般人や政府関係者まで巻き込んだ大フィーバーになったのも、原因はホスト国である中国の一部国民の異様な熱狂のお陰。それも、常軌を逸したような日本に対するブーイングのせいじゃね。
まあこれ、ハッキリ言って狂気の沙汰としか言いようがないよ。プレー中は仕方がないとしても、試合前の日本国歌演奏に対するブーイングを始め、モノは投げるは汚いヤジは飛ばすは、数々の乱行は醜態の極み。おまけに徒党を組み、試合後の選手の乗ったバスや日本公使の車に投石するに至っては、とても文明国の人間のやることではない。テレビのコメンテーターの中には、「歴史認識の大切さを教えられた」などと迎合したことを言うスカタンもいたが、とんでもない話じゃ。これはそれ以前の問題。つまり、スポーツの国際大会を開く文化度が自国にあるかどうかを示す上で、中国政府と国民は世界中に恥を晒したということじゃな。
◆ところで今回の日本代表、そんなにダントツに強いというチームではなかった。一次リーグのオマーン戦や、決勝トーナメントのヨルダンやバーレーン戦など、中東の小国にさえタジタジの有り様。何度も目をつぶった人も多いんじゃないのかな。でも、不思議に最後は粘り勝って、ついには優勝しちまったんだから、やっぱり地力があるということなんじゃろう。その昔のプロレスラーなら、のらりくらりのドリー・ファンク・ジュニア。力士でいえば、剛力で一直線に相手を吹っ飛ばす柏戸ではなく、柔らかい体で相手を受け止め何となく勝ってしまう大鵬、という感じかな。ま、観衆に憎まれるくらい強くなれば、それが本当の横綱相撲という奴かも知れんわい。なに、古い例えを持ち出すな? へい、すんません。
とはいえ、今度の大会で感じたのは中東勢の著しいレベルアップ。4年前のトルシエ監督のときは、鎧袖一触という感じで彼らを蹴散らしたもんじゃったが、今回は様子が違ったね。フィジカルはもちろん、テクニック、スピード、戦術、どれをとっても日本や韓国といった東アジア勢を脅かすほど向上しておった。日本代表もゆめゆめ、今回の優勝で油断するようなことがあってはならん、ということじゃな。
◆まあ決勝戦の相手・中国は、正直言ってそれまでの中東勢に比べれば、わりと楽な相手だったな。体はみんなでかかったが、テクニックや戦術面でそれほど怖さは感じなかったもの。これでイランが対戦相手だったら、もっとタフな試合になってたかも知れんよ。もっとも、その中国もいま経済の好調と比例するように、国を挙げてサッカー熱に沸いておる。今後、ヨーロッパなどから優れた指導者を得て、強豪国に進化することだって大いに考えられるな。中国が良い意味で日本のライバルになってくれるんだったら、わしも大歓迎。日・韓・中が競い合うことで中東勢に対抗する力を磨き、世界のサッカー地図にも新しい勢力圏を築くことが出来れば、東アジア勢バンザ〜イなんじゃがね。
そういやオリンピックが終われば、すぐにW杯アジア一次予選が始まるな。中でも、今回のアジア杯で苦戦させられたオマーンとの、アウェーの試合が待っておる。これにスカッと勝って一次予選突破と行きたいものじゃが、過酷な暑さと中東のスタジアム独特の雰囲気は、日本代表にとっても難敵となりそうじゃ。え、中国でさんざん鍛えられたから大丈夫? そうか、あの大ブーイングと酷暑は、中国が日本代表に贈った愛のムチだったんじゃね。やっぱり東アジアどうし、切磋琢磨しつつ仲良くしような。
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