その96.アテネで感動したこと、しなかったこと(2004.9.10)
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◆どうもなあ、猛暑の夏が終わったと思ったら、今年はやけに台風が多いね。雨台風に風台風、いろんなタイプが次々と狙ったように日本列島の上を通り抜け、様々な被害をもたらしては去って行く。そうこうしているうちに、次第に秋になって行くんじゃろうなあ。
そういえば先月のアテネオリンピックも、まるで台風のように日本中を熱狂の渦に巻き込んだものじゃった。わしが期待しておったサッカー男子チームは、あえなく予選リーグで沈んでしまったが、なにせ銀メダルのパラグアイに銅メダルのイタリアと、同じ組だったのが不運だったよな。そんな“死のグループ”で、すべて1点差試合で1勝2敗という成績は、言われるほど最悪の結果でもないとわしは思うんじゃがね。まあアトランタのときみたいに、“ビッグサプライズ”を起こせなかったのが、残念といえば残念じゃが…。なに、その代わりに女子の“なでしこジャパン”が頑張った? まあ、な。でも10ヶ国が出場して、その中からベスト8に進出と言われてもなあ、それほど大喜びは出来んわい。
◆そんな中、わしが感動したシーンが二つあった。一つは28年ぶりに日本が金メダルを奪還した、男子体操団体決勝の名演技じゃ。偶然とは恐ろしいもので、その夜はなぜか寝付きが悪く、たまたま深夜にテレビを付けたのが大当たり〜! スタートで出遅れた日本が、種目ごとにジリジリ順位を上げて行くという展開は、まるで良くできた追跡ドラマのようじゃった。最後の種目・鉄棒では、極度のプレッシャーで1位ルーマニアや3位アメリカの選手たちが次々と失敗する中、2位日本の3選手はいずれも見事な演技。とうとう大逆転をやってのけた。最後の冨田洋之選手がピタリと着地を決めた瞬間にはわし、日の丸を持って夜明けの町をウィニングランしようかと思ったくらいじゃ。え、職務質問されるからやめとけ? 分かってまんがな。
もう一つの感動は、陸上競技の男子リレーだね。エントリーした400メートルと1600メートルの2種目で、ともに決勝進出を果たしたわが日本チームの闘いぶりは、本当に素晴らしかった。何といっても、周りは大男で筋肉隆々の黒人選手ばっかり。見るからに小柄で華奢な日本選手たちは、明らかに走力で劣っておった。そんな外国勢に伍して、日本チームが2種目とも堂々4位入賞を果たした原動力が、究極のバトンリレーだったね。競争相手の大男たちがバトンゾーンでモタモタしている隙を縫って、日本選手はまるで神業のような正確さで、素早くバトンを手渡し差を詰めて行く。走力の劣勢を鍛え上げた技術とチームワークでカバーするところは、さすが日本得意の職人芸という感じがしたなあ。
◆それに比べてウンザリだったのが、マスコミによる“長嶋ジャパン”の大合唱。ペナントレース真っ最中だというのに、プロ野球各球団から主力を集めて編成した野球の日本チームじゃったが、金メダル間違いなしと言われながら結果は銅メダル。年俸総額40ウン億円とも噂されたプロの連中が、米マイナーリーガー主体の豪州に二連敗とは情けないね。
まあ、五輪の5ヶ月前に長嶋氏が病に倒れたのは不運だったが、代わりの監督を選ぶ時間は十分にあったはずじゃ。それを最後まで「長嶋監督」に拘り、結局、監督経験の一度もない中畑氏に指揮を執らせるという過ちを犯した。サッカーみたいな組織プレーがそれほど必要ない野球とはいえ、これでは選手もうまく機能しないわな。おまけに、対戦相手のスカウティングもろくにやってないようでは、国際試合に勝てませんて。“長嶋ジャパン”への称賛一辺倒で、責任の所在を曖昧にしようとする、日本の新聞・テレビ業界人の罪は重いといえそうじゃ。
◆おっと、忘れちゃいけないのがもう一人いたな。最終日に行われた男子マラソンで銅メダルを獲得した、デ・リマ選手がその人じゃ。35キロまでトップを独走してたのに、突如現れた謎のスカートおじさんにコース外に押し出され、泣きそうになりながらレースに復帰。なんたってブラジル人だから、途中で「もう、や〜めた!」と言うんじゃないかと心配したけど、最後まで完走したのは立派、立派。結果は3位だったが、ゴールの瞬間に笑顔で“飛行機ポーズ”を決めてくれて、みんなをホッとさせたのはえらかった。さすが、陽気なブラジル人。彼のお陰でアテネオリンピックは救われた、とも言えるんじゃないかな。
そんなわけで、人間、最後の態度が肝心だということで、今日は終わりにしとこうか。でもスカートを穿いたおじさんには、みんなも気を付けような。
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