大正7年頃から使用
幅174/高さ356/ミリ
佐藤暖房機株式会社
佐藤商店のストーブは、出荷前に1台ずつ丁寧に手で磨かれた。いまも石炭の粉や煤煙で黒く汚れたこのブラシは、当時、ストーブの最後の清掃に使われたもの。四国産の棕櫚を使った柔らかな手触りが、製品への愛情を感じさせる。
ブラシをかける作業は、主に佐藤松市の妻、ナオの仕事だった。ナオは家事や育児の合間に、奉公人達の先頭に立って店で働く女性だった。このブラシは、震災で家族や家財道具、商品のストーブなど、全てを失った松市にとり、遺された妻の形見の数少ない一つと言えよう。
11.ストーブ清掃用のブラシ