はじめに
今期の特別展示では「鉄瓶・黒い美の世界」と銘打ち、日本の伝統工芸の一つである鉄瓶を取り上げ、展示しております。宮城県白石市に三百年以上続く商家、渡辺家に伝わる数々の名品を、このたび御当主のご好意により、デジタル画像として皆様のお目に掛けることが出来ました。古い蔵の静けさの中で、長い時を掛け眠り続けてきた鉄瓶たちは、名工の精緻な職人芸に囲炉裏の炎の熱が加わり、見事な工芸品として、また往時を語る生活史の資料として、味わい深い表情をあなたに見せてくれるでしょう。
鉄と錆と炎が生み出したこの黒い美の世界をたどるとき、きっとあなたの心の奥底に、しんしんという何かのたぎるような、歴史の足音が聞こえてくるはずです。

1.江戸前期の鉄瓶
・尾花金兵衛作鉄瓶(寛永)
・久次郎作南部鉄瓶(明暦)
・八蔵作南部鉄瓶(明暦)
・尾花喜一作鉄瓶(寛文)
・花蝶紋彫り鉄瓶(天和)
・麒麟像浮彫り鉄瓶(正徳)
2.江戸後期の鉄瓶
・波状紋彫り鉄瓶(明和)
・金杉千吉作鉄瓶(寛政)
・金杉千吉作鉄瓶(文化)
・尾花徳治郎作鉄瓶(天保)
・尾花徳治郎作鉄瓶(弘化)
・卍紋彫り鉄瓶(文久)
3.明治以降の鉄瓶
・亀甲紋彫り鉄瓶(明治)
・榎木清兵衛作鉄瓶(明治)
・谷田林蔵作大鉄瓶(明治)
・谷田林蔵作中鉄瓶(明治)
・雪花紋彫り鉄瓶(大正)
・西澤康祐作鉄瓶(大正)
4.江戸期の茶釜
・朱蜘蛛万代茶釜(慶安)
・彩雲紋彫り茶釜(延宝)
・蛙取手流水紋茶釜(宝永)
・竜頭蓋雷神茶釜(宝暦)
・紅葉飛鳥彫り茶釜(文政)
・晴天蜻蛉群舞茶釜(慶応)