昼になり寒気が緩むと火鉢の火も白い灰になり美しくない、と彼女は言っているわけです。きりりとした冷気に真っ赤におきた炭火が、きっと彼女の冬のイメージだったのでしょう。それにしても、清少納言は寒さに強い、早起きの好きな女性ですね。 火鉢の必需品には、火箸、五徳、鉄瓶などがあります。お餅を焼く場合は金網も必要ですね。それに、煙草好きの方には煙草盆も。火鉢の魅力は暖を取るだけではなく、何と言っても部屋を引き立て、そこでお茶を飲んだり食べ物を暖めたり、と言った副次的な要素が大きいようです。 炭はかつて石油やガスが登場するまで、家庭の大切な燃料として重宝されていました。戦後、炭の生産量のピークは昭和32年(1957年)で、約222万トン。それが昭和51年(1976年)には、約3万7000トンまで減少してしまいます。しかし、近年は専門料理店やアウトドアでの使用が増え、再評価の声が高まりつつあります。炭火の良さが、もう一度見直されて来たわけですね。 煙や遠赤外線以外にも、燃焼時間が長い、火力が安定している、温度を調整しやすい、など炭火の長所は少なくありません。これは「炭焼き」という手の掛かる労働を経て、木を木炭と言う良質の燃料に変えているからです。製炭された最古の炭は、約30万年前のものが発見されているとか。人類と炭の付き合いは、気の遠くなるほど長いんですね。 |
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